【太陰暦と太陽暦】
旧暦で見ると、合点のいく天候の時があります
天気によって売れるものが変わるのは皆さん経験ありますよね。
暑い夏なのか、より寒い冬なのかとか、予測ができていると気持ちが楽です。
去年一昨年とずっと暖冬だから今年も暖冬だとか、ずっと酷暑だから今年の夏も暑いとかそう思っても、天気なんて勝手な予測は当たりません。
何となくでいいので、予報代わりの物差しがあれば、得心しやすいという話です。
私が旧暦に興味を持ったのは、今から20年前くらい。業界誌の繊研新聞の記事からでした。
旧暦と新暦。新暦は今使用している太陽暦です。もちろん旧暦は太陰暦。
大きな違いは閏(うるう)の考え方。太陽暦は、4年に一回2月が1日多くなります。太陰暦では閏月を使い、1年が13ヶ月になります。
しかもこの太陰暦は必ずしも13ヶ月とは限らず12ヶ月の時もあります。どこに閏月が入るのかも毎年変わります。
近世より古い時代は、アジアでは多くの地域が太陰暦を使っていました。
時の王朝が暦を作り民に知らしめたのです。暦を作るのは時の政権の大事な仕事でした。暦を作れる事も技術の一つです。
何故旧暦かというと、そもそもは農耕暦。農業するのにどんな気候になるかを暦で表しています。
農作業自体は天気に大きく左右されます。苗を植える時期や肥料を足す時期など。もちろん暑くなり始めるのはいつ頃なのかとか、雨が多いか少ないかとか。
そういう意味で暦は、近世以前大事な情報であったと思います。
例えば、卯月(4月)のような気候が続くなら閏卯月が入ります。卯月のような気候が2ヶ月続くのでその期間は、その季節に必要な農耕でするべき事が約2か月間できるという意味です。
霜月(11月)のような気候が長く続くとするなら閏霜月が設定されるのです。
2020年は閏卯月がありました。すると新暦の7月はほとんど水無月(6月)の気候という事になります。
農耕では、今のタイミングで水を張り田んぼを作るのです。水無月なら雨が多いイメージですよね。まさに2020年7月は雨がおおく梅雨が長くなっているようですが、旧暦なら水無月で元々雨を予測する月で、何ら不思議はないのです。
天気予報なので絶対当たるというものではありません。
それは前提ですが、異常気象だとか、今年はおかしいとかいう言葉も飛び交う中でも、まぁ旧暦で当てはめるならそんな気候かなぁという時もあります。
農耕と天候は切っても切れない関係ですよね。
今でも商売に影響する春節ってありますね。これは旧暦の正月です。
毎年新暦の暦では、旧暦の正月の日付は変わります。当たり前ですよね。旧暦なら閏月があるのかないのかと、どこに閏月が入るのかで新暦に当てはめると日付が変わりますから。
2020年では霜月(11月)の1日は新暦なら12月15日です。概ね寒くなっていくのは11月の初めから。
そう考えると今年は、12月中旬から本格的に寒くなって、コートの実需が始まるのかな?とか、ではすぐクリアランスだから、コートは年明けからしか本格稼働しないかなとか予測できます。
※もちろん、感染症のことが無く、何にも気にせず外出できるような状況ならの話ですが・・・
これなら年内の冬物はコート以外にニットが充実し製造量がないと商売としては追いつかなくなります。あくまで予測でしかありませんが。
旧暦は明治政府が廃止し長く時間が経ちますが、習慣のかなでは残っているものも多く、決して馴染みのないものではありません。
今は携帯のアプリでも旧暦が分かるアプリもありすぐ調べられます。
便利な時代ですよね。皆さんも調べてみては。私はここ20年、旧暦を気にしながら商売をしています。