【百貨店雑記】

百貨店雑記

 百貨店にいると、色々と過去の経緯や、その時々の決断があって、今があるというようなことを聞きます。

 その多くの内容で、各百貨店が同じような時に同じような事を決めています。そんな話を聞くと、あぁ皆同じようような道を歩んで今があるのだなという気持ちになります。

 例えば、セーターブラウス売場。かつてはどこの百貨店でもフロアの1階にあった売場です。今は、売場自体を見ることも無くなり、売場名称さえ認識できない状況ではないでしょうか?

 そんな売場が当時なぜ1階にあったのか?1990年代半ばから後半くらいまでは残照のようにロケーションしている支店もありました。

 セーターブラウス売場では、百貨店のオリジナル商品が展開されています。オリジナルですから完全買い取りです。利益率も大きく、50%以上の利益を持つ品番も混ざっていました。

 結果、売り切りたいし、売ると儲かるなら、最も売れるロケーションにするというのが当時の考え方です。季節感とか、アイテムの優位性より、儲け幅の方が優先していたのでしょう。

 考え方としては単純です。より高回転で商売して、売上上げて儲けよ、というのだから。

 かつて、パワーアイテムといったアイテムがありました。単品だとセーターブラウスはそのアイテムの代表格です。

 他にもドレス・スーツ・コート売場もパワーアイテムの売場です。春夏はドレス・スーツを中心に販売し、冬はコートを主軸にします。

 こうして要望の強いアイテムを販売していた訳ですが、特にオリジナル商品で展開していたセーターブラウスは1階に売場があることが多かったという歴史です。

 別の例ですが、季節感のある服飾雑貨売場はどうでしょうか? 専業会社が生産していることが多い服飾雑貨ですが、ここも取引の上では、百貨店にとって利益の大きな売場です。

 現在でも服飾雑貨売場に関しては、1階にあることが多いですよね。これは、百貨店そのものが、今も昔も季節を大事に商売している証左かと思います。

 季節感あふれての百貨店、これはずっと続く特徴です。入館してすぐ季節を感じられたら良いですよね。

 もともと、1階は建物の構造上、お客様の出入りが多い傾向があり、高回転型の商売や、消耗品を配置することも多かったです。

 使えば無くなる化粧品や、かかとがすり減る靴などが、その消耗品の代表で、1階にロケーションしていました。
 ※化粧品には別の角度の考え方もあります、取引先の強弱など・・・

 時代が移り、ファッションの考え方が変わり、例えば、靴を軸にファッションを考えるに様になると、かかとが削れる消耗品でなくなった靴は、扱われ方が変わります。

 ファッションと隣接した場所に靴売場ができ、フロアでは2階とか3階とかで展開され始めます。つまりは、必ずしも1階の展開ではなくなっていきます。

 すると不思議なもので、多くの百貨店が同様の展開をし始めます。物のとらえ方が一緒という場合もあるでしょうし、成功事例の追随というのもあるでしょう。

 今現在、儲かるからといってセーターブラウス売場が1階にはありません。もちろん、ドレスコートの売場もありません。売場そのものが無くなっています。

 お客様のご要望の強さに合わせ、変化に従い改装し、今の売場作りがなされていると思います。

 買い方の変化もあり、売場ロケーション変更や、そもそもの売場が無くなるなど、かつてと今とでは大きく異なります。

 物を売れるようにアプローチするには、お客様をよく見て、お客様にとって、見やすく、選びやすく、買いやすい売場を作ることが重要。

 変化に対しては素直に対応していきたいものと思います。

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