【上海の百貨店で】
騙されないように注意しながら買い物
2000年代後半でした。研修でいくつかの上海の工場を視察に行きました。もちろん上海の街自体も視察計画に入っています。百貨店所属の私は、現地の百貨店をいくつか見てまわりました。
ただ驚く事に、たどたどしい日本語で話しかけるとある百貨店のスタッフがいます。「目の保養?」となぜだか真っ先に聞いてきます。
余りにたどたどしい日本語ということもあって、たいして会話できないだろうという印象です。相手に合わせるように「はい、目の保養です」とにこやかに答えました。
すると、あからさまにこちらを見る目が嫌なものを見る目のようになり、ふんっ!と声が聞こえてきそうな、そう言わんばかりにソッポを向いたのです。買わないならあっちに行け、会話もしたくないという拒絶。
物を売り、サービス力でも競争してる小売の現場で、スタッフがとるべき態度ではありません。
基本の「き」もなければ、基本を学ぶ際の「基本」もない、もっとも忌むべき行為です。買わないならあっちに行け!という行為に、国は違えど、同業の者として、怒りに近い感情を覚えました。それともお国柄だとそれが当たり前なのでしょうか。
人間生きていればそんな目にも会うよというような極端な体験です。きっと上海の百貨店では購入金額によっても全く異なる対応をされる可能性があるなとも思いました。ふんっ!ていう言葉が実際に発せられたような「そっぽ」ですよ。目の前で。
日本でも、スタッフさんの声がけに「少し見せてくださいとか」「ちょっと見てるだけです」と言うお客様はいます。だからと言って、聞いたその場でそっぽ向かないでしょ。
お客様の気持ちを削ぐ様な態度を平気でするような企業は、成り立たないのが普通です。絶対に自分のお店では、そんな事させないと強く思わせる出来事でした。
道を歩けば、ロレックスあるよと行く先々で日本語で話しかけられました。一体どれだけのロレックスショップがあると言うのでしょう。
研修に同行した方(糸屋さんの方だったと記憶しています)なんて「路上でお土産に子供におもちゃ買ったよ、すごい値切ったんだ」と言っていたのですが、値切って値切って、買った金額が、その路上商、現地のお客様には、最初にその金額言ってました。
騙される方が悪いと言うのは本当でしょうか?
自分が思う商売は、信頼を寄せてもらえるもの、その信頼の厚み、深みが次に繋がるような商売が良いと思っています。この時ほどその思いを、心底そう思わせました。
本来の研修意図は工場の視察です。工場そのもの進化、巨大さ、工場のために街をつくる規模感、圧倒的な状況を色々見ながら、国の違いに大きく感心した研修だったと思います。
ただ、人は極端な例を体験すると、やはり基本、原理原則は大事だなと再認識するようになります。