【手芸用品で】

オリジナルで挑戦しました。

 手芸用品を担当していた、2000年代半ばの頃です。

 糸の展示会にも参加して、取引先と話し合いをし、距離が縮まると、何かしらチャレンジして実績をあげようと思うようになります。

 この時は、オリジナルでした。糸のオリジナルを売るのではありません。製品を作って売ろうというのです。

 夏場には抄繊糸(和紙)の入荷予定があり、マテリアルは和紙ですから、涼しげなニット帽子を作って、材料費に3倍して定価にして売れば、糸価格以上に儲かると発想しました。

 数種類ある抄繊糸から、糸を選んでもらい、お客様の頭の寸法に合わせて作る、というオーダー商品です。作るのは本社で手芸用品の売場の製品サンプルを作る方にお願いすれば、余計な人件費はかかりません。取引先を説得、売場の店長にも納得してもらい、実施です。

 結果、思いの外好調でした。ただ、支店のあった下町の地域柄なのか、「作らないくていいから、このサンプル売ってくれ」といって、店頭にオーダー用に展示しているサンプルが購入されていきました。

 実際のオーダーはあまり無く、サンプル販売です。それでも実績向上には役立ちました。

 冬です。クリスマス商戦に挑戦しようと同様の試みです。毛糸で手編みのマフラーを縦横の寸法を聞いて、オリジナルとして売ろうとしました。

 毛糸なら、手芸用品売場の本来の品揃え。多くの糸の中から選べるし、思う長さ、幅に仕上がります。

 手編みなので、自分が編んだといって、誰かにプレゼントすることも可能。客層を選ばない良い企画と思いました。

 実は私も試しにここで発注して見ました。イタリヤ製の糸で指定した馴染みの長さと幅。本当にいいものができたと自分の企画ながら感心していました。

 1日、1件から2件のオーダーがあります。糸量に3倍付けで定価にしましたから、いい商売です。ただここで、問題が起きます。

 サンプル作りをしてる本社の手の方に編みをお願いしておりましたが、どこも同じ。その業務がショップ店長に降りてきていたのです。

 店長も、日々手芸を趣味にする来店するお客様にとっては先生。手芸コーナーで、テーブルで世間話しながら手芸を楽しむお客様の集団、そんな光景見たことありますよね。そうした時の指導は概ね店長がしています。

 店長が悲鳴を上げました。「バイヤー、順調なのはいいのですが、夜なべ仕事で受注商品を作ってます。もう肩が上がりません・・・」

 この企画ここで終了です。良いアイデアと思いましたが、店長の腕が動かない程の高稼働では継続できません。まぁ、実績が伸びたという結果があって、成功といえるでしょう。

 しかし、モノはやってみるもの。こうした反応があるなら、実際にはオーダー専用カンターを年間でも運営してみても良かったですね。当時はそこまで考えていませんでした。

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