【フリー客獲得 品揃えで鮮度維持】

毛皮売場でも同様です

 品揃えでも、売場の鮮度が維持されます。扱い品目に左右されず、効果を得られるものです。

 2000年代半ばの頃も毛皮売場での話です。当時、今ほどは、毛皮商材がマーケットから排除されていない時代です。

 私は、毛皮の仕入れ担当でした。毛皮というと冬の商売が中心の様ですが、夏の毛皮というのがあって、オフシーズンだと価格が下がると思うのか、集客をかけると結構な数のお客様が集まります。

 なので、毛皮は年間商品と言っていいです。取引先の展示会も開催されており、毎シーズン新作が作られます。

 その時のその取引先は、折角作った新作でも、発注が付かないと製品を作らな取引先でした。なので私は、発注をしに展示会に行きます。場所は本社所在地の京都でした。半期に一度は京都出張。それはそれで、なんとなく楽しいものです。

 会場では、新作について意見を求められます。かなり数のサンプル商品を見ることになりますが、チャレンジングな商材も沢山あり、面白く商品を見た記憶しかありません。毛皮の可能性を感じさせる商材です。

 ただ、返ってそんな新作は、長く担当している取引先の営業部門からはあまり理解の得られる物ではありませんでした。挑戦的なもの作りの理解者が、私の様な外から来た者もになっていたと思います。

 当時、綿毛のシェアードの商品が中心で、挿し毛の商品の方に新鮮さがありました。その中で、毛並みが揃わない、足回りの毛をパッチワークの様につないでベストなんか作ると、綿毛なんかと比べて、カジュアル感が出て、いい商品に見えます。

 そんな端切れの様な毛皮の使い方は、長く毛皮をやっている方々にとっては高級感も無く、良いものには見えなかったのでしょう。そうした先方社内では受けの悪い商材でも、店頭に無いタイプの商品を私は求めました。はっきり言って品揃えとしての鮮度が欲しかったのです。

 当時話題になった横綱がモンゴルから日本に帰ってきた時に着ていたキャットリンクスなんかも用意してもらいました。素材が珍しいというのもありましたが、話題の商品と思ったからです。それも店頭の鮮度維持のため。

 ひたすら商品分類上、無い物を集めました。結果それが売り場の鮮度アップになっていくのです。

 その時のショップの店長は70歳前後だったと思います。高齢でしたが、何だか私の言うことを思いの外、聞き入れてくれました。人の柔軟性というのは年齢ではありませんね。なので新作が訴求商材となり、前面に展開されます。

 百貨店では、毛皮売場はフロアでも隅の方にありがちです。ショップ前の回遊客なんてまったくいません。

 日に一人でも接客できれば良いのではないでしょうか?(毛皮ショップは、催事企画を定期的に行い、年間の実績を獲得していて、売場自体は、お求め頂いたお客様の相談カウンターの要素も多分にあります)。

 当時支店にいたので、客数はより、少ないです。一日で一人でもショップを見てくれたら、十分というようなロケーションです。

 ただ、その商品がよく売れました。しかもフリー客に。毛皮売場をたまたま横切る人が珍しがって見ていくとの事。

 ショップ店長からは「バイヤーね、入れてくれた商品売れたわ!追加しようかしら。会社に言ってくれない!」なんて感じです。

 私もフリー客にそうそう売れると思っていませんでした。点数もそこまで動くとは予測していません(商品単価が数十万から数百万なので)。

 売場の展開、ラインナップから「おやっ!」と思う商品を、お客様は見ているという証拠のような話。発注した方は、嬉しくなりますね。

 そのあと、取引先からこんな話がありました。業界紙のインタビューがあったそうです。「関東の実績がいいですね、理由はなんですか?」とインタビュアーが質問。

 その時の営業担当は回答に困りましたって言ってました。まさか「目利きのバイヤーがいて、その人が言うものを納めたら実績上がったなんて回答できないから・・・」と。

 話が脱線しましたが、様々な角度から鮮度維持する事で、フリー客の獲得、売上アップが得られると理解してもらえたら良いのではと思います。

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