【運営と管理の違い】

運営の得意なスタッフは売上げを伸ばす、管理の得意なスタッフは問題を減らす

 運営と管理の違いを考えたことはありますか?運営はショップの実績を伸ばします。なぜならショップの課題に向き合った動きをするからです。

 管理はショップの維持のために必要なもので、避難導線に着荷物を置かないとか、共有スペースに什器をはみ出させないとかです。

 運営を行うときは、回答が一つではありません。場面ごとの課題にどう向き合うかで回答が変わるので、柔軟なスタッフの方が良い回答をすることが多いです。

 管理の回答は一律です。どこから質問が来ても同じ回答ができます。提出物の提出日は一緒ですし、避難導線に着荷物を置かないのはどこも一緒ですから。

 従来、商業施設では不動産型と、売上仕入れを利用する仕入れ型では特徴として得意不得意がありました。駅ビルは不動産型、百貨店はもちろん仕入れです。

 専門誌で報じられているように、百貨店が不動産型のビジネスモデルに切り替えて、ハイブリットの館運営を行うようになってきました。

 不動産型では管理型が多く、運営要素で実績を伸ばすより、コンプライアンスをしっかり守り、広さに合わせた賃料と、諸経費を収めてくれれば、売上の大小の優先順位は低いという考えが多いようです。

 場所は貸すので、しっかり運営して売り上げを獲得して欲しいというくらいでしょうか。その分館の運営スタッフは減らすことができます。一律の回答で事柄済むので、まさに管理のみ。

 運営については、館スタッフはショップ毎に売上アップの相談を受けても一律の回答はできません。

 最近、回答が異なること自体を理解できない館のスタッフが増えていたり、ショップの状況を正しく分析できずに回答に困るスタッフが多くなってきていたりという印象があります。

 そりゃ、「避難導線に物置くな」とか、「この提出物はいついつまでに出してとお願いしましたよね!」と言っていれば仕事になっていると考えている方も増えてきている印象なので、館のフロア担当が任されている十数ショップの状態を正しく理解するのを煩わしく思ったり、自分の仕事・担当範囲じゃないと思ったりしているのかもしれません。

 運営が必要な場面で管理が優先した例があります。正面口に設置している訴求強化のVPの話です。多くのお客様にプロモーションを 分かって欲しくて代表的なコーディネートをVPにして設置します。目立つことでフロア回遊や、VPに着せ付けしているショップへの集客・誘因が叶う効果を狙います。

 それでも1週間くらいの期間でVP着せ付けのショップの変更があります。鮮度維持です。その着せ替えの日の出来事です。

 着せ付けしているショップに時間帯でボディからコーディネートを脱がすように指示します。新しく着せ付けするショップには前のショップの脱がせる終了時間を告げ、その時間を着せ付けの始まりの時間として指示します。

 上手くいけばボディから脱がすのと着せ付けの時間に乖離が出ず、VPでの鮮度維持の作業が完了します。

 時間の連携が上手くいかないと、着せ付けを脱がせて後、次のショップが接客などの理由で遅れるとボディが裸のままになります。お客様にとっては何の意味も持たない裸のボディが置かれたままになり、本当に格好の悪い状態になります。

↑ ↑ ↑ この状態で1時間くらいかと思います、このままでした。

お客様にとっては、何の意味もない格好悪い状態ですよね。

 運営力が強い時はこの時間の乖離がほとんどありません。お客様目線が優先していて、意味のない格好の悪い状態を生み出さないように注力するからです。

 運営力の真の力は「気づき」です。「気づき」が無いと、とにかく間(ま)の悪い、格好の良くない状態をお客様に強いることになります。

 「気づき」は未来の思考です。こんなことをしたら、お客様嫌だろうな、不便だろうなとか未来を想像して工夫する力です。

 反対に管理力中心の考え方は、法令や館内ルールに基づき、事件や事故が起こった際に、手続きを間違っていないという、記録。過去に視点を合わせた動きです。許認可権を持った役所に多い傾向でしょうか。

 どちらかが良い悪いという話ではないのですが、お客様視点や売上向上には運営力視点は大事です。

 「気づき」は想像力でお客様のことを考えますので、経験や知見の多い方の方が得意です。素人仕事だと中々追いつかない発想かもしれません。

 VPの話に戻りますが、VPは運営力です。もしVPを増やしてプロモーション強化しようという意見が出たときに、「VPが増えたら管理するのが大変なので・・・」と消極論をいうスタッフがいたら、売上アップに寄与することは少ない動きのスタッフでしょう。

 あくまで売上アップはひと手間掛けると効果を獲得しますが、その売上アップをかなえるひと手間のことを、業務改善の発想をして、削るように考えるスタッフはいるものです。

 ショップに置き換えてみましょう。ショップでも同時に運営と管理を発想しなくてならない場面が多いと思います。

 あまりに本社から管理を強く言われると、こんなに一生懸命仕事しているのに、決め事やルールやコンプライアンス関連のことばかり、本社の方は現場がわかっていないと不満を持ちやすくなりませんか?

 そんな時、事業部全体の仮説に基づき、新しい試みを指示されると、「現場は今忙しいのでそんなことできません!」と日常的な不満をもとに反論してしまうかもしれません。

 これは組織に属しながら、個人事業主のような回答になっていることに気づきますよね?運営と管理が自身の中で分けて考えられずに心情上の理由が先立ち、混ざって考えて、頓珍漢な回答をせざるを得ないところまで追い込まれてしまっているのです。

 指示項目の区分さえ分かっていれば、指示の内容毎に意味がわかるので、ごちゃごちゃに理解せず、対応方法がその主旨によって異なることがわかると思います。

 現場の大変さを皆さんが今体感している事実は、しっかり理解できます。ただ、それ以上の困難を乗り越えた方しか本社にはいないものです。

 そのことの想像力を働かせて下さい。事実は結構そんなもので、本社から指示出しする方にとっては至って普通の状態としてショップの状況をとらえていると思うのです。そんな経験あると思います。

 館のフロア担当が「この通路に物を置かないとお願いしましたよね!」と避難導線や鉄扉前のショップの着荷物に指示を繰り返すこともよくあります。

 ただショップ側から言わせると、着荷物は毎日届くし、宅配便が置いて行ってしまうし、朝一人で、中番来るまで動けないし、毎回毎回、「言いましたよね!」ばかりで意味分からん。そう思っていると思います。

 管理の成れの果てで、お願いしている主旨を分かりやすく、ショップスタッフに話せていない証拠なのです。

 避難導線や鉄扉前、シャッター降下障害などの理由で命を落とすような事例があることを、分かるように説明できていないのです。ショップ側からは不満がたまります。

 館の評価が下がり、売上も向上しづらくなります。原因は「館への不信感」です。

 このような状況では、館のスタッフとしては記録や経緯はしっかり語れても、売上獲得の施策は語れません。そもそも様々な部署・取引先の協力を基にする有効な施策を語れるなら、不信感をまき散らしたりしないからです。

 ショップの皆さんには、指示内容の区分を理解し館のスタッフの特徴を理解し有益な回答をもらえる方に、適した質問なり相談なりして下さい。

 皆さんは会社の指示で所属が決まり、指示でどこかの館の配属になったのでしょう。その館の使い勝手が悪くても成果を出さないと評価にも影響するのではないですか?

 そんな皆さんの手伝い(売上アップ)ができないようなスタッフがいたら、分かる方に協力を仰いで下さい。それが一番いい方法と思います。

 私もどんな小さなことでも売上アップに寄与できるなら協力を惜しまない気持ちで常に巡回していますし、お客様目線をなくさないように日々店頭を見ています。

 運営と管理の違いから理解してもらい、自身のショップの実績向上を図りましょう。

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