【課長に聞いてからでいいんじゃないですか?】

最近の傾向?

 現場の実務を担当している中堅スタッフからよく、「それは課長に聞いてからでいいんじゃないですか?」とか「課長に決めもらって動きましょう」とかの発言聞きます。それも自身の思う対応策を考える前に。

 そういう経験ってありませんか?私の個人的な経験ですが、ここ数年でそうした頻度が上がった気がしています。

 業務遂行から習得した自分の意見や方向性を全く言わないスタッフ。違っていたら二度手間になるとか、自分の意見が否定されたら嫌だとか思っているのでしょうか?意味が全く分かりません。

 意思の無い、考えの無いところでは、課題解決や、困っている現場への共感性、上司の知らない現場の状況を熱意で伝え翻意してもらおうという説得性などは感じられません。

 自らが考える前に、上層が決めれば従うのでいいじゃないという態度では、様々な場面を乗り越えられないですよね。ただの上司依存。

 物事を決めるプロセスには、先を予測し問題勃発を予防するとか、経験や経緯からお客様がお困りにならないよう事前の準備するとか、意見がぶつかっても妥当なものを探すとか、物事を決めていくにはそういう事柄があるのが一般かと思います。

 反対に、上司が全く周知されていない情報で何かを判断をするなら、配下のスタッフは情報を知ら訳ですから、そんな時は妥当な回答が出なくても仕方ありません。

 ただし、そうで無いなら、上司に聞いて、指示通りで動くのが「合理的で時短」と思っているスタッフ出てきているように思います。

 そうしたスタッフには自己研鑽というか、自分ができないことを今後できるようになりたいという意思を全く感じません。

 現状維持の典型ではないですか?自身で判断し事柄を動かしていく未来を全く想像していないのですから。

 私の若い時です。転職した2010年代はじめ、最初から権限をもらってはいませんでした。なので営業部長に一人で商談にいくよう指示をもらった時、事前部長に確認取ります。

 自分の考えをぶつけるのです。その上で吟味してもらい、対応策の方向性に現場の熱量(今までの経緯や押し引きの経緯)を理解してもらいます。

 それは、先方との想定問答で、撤去費負担を受けていいのかとか、営業最終日で想定できる日付とか、そのメリットデメリットとか、バックヤードを作業で貸し出していいかとかなど、取引先が言いそうな、懸案の事案を今までの交渉内容から具申します。

 そのこと自体は、もめるかもしれない案件の解決のための内容です。商談後はもちろん結果を議事録で報告します。

 取引先から見れば、どんな質問しても、「帰って上司に相談し回答します」ばかりでは、社の窓口として信用されません。「何の権限もなく来社し、何も決めずに帰ったよ・・・」なんてことになりますから。

 だからその場で判断に困らないよう、自分の意見を交えて相談します。現場での熱量(押し引きの経緯)を伝え、私が思う落としどころを示唆しながらです。

 選択肢と、メリットとデメリットから概ねの判断を事前にもらっていました。もちろんそれまでの経緯がありますので、自分の対策を採用してもらえるよう説得しているのです。

 委譲された権限範囲の確認と言ってもいいでしょうか。あれから10年経過、聞けばいいやというのか、それをもって合理と思っているのか、現場の熱量(経緯や押し引き)を上司に分かってもらうような発言はあまり聞かなくなりました。

 結果や解答だけ望む動き。それでいて、その回答獲得までスピード感が無い。メール送信で相談のような形式です。(シフト勤務のすれ違いが要因ですが・・)

 でもそういうスタッフ、管理はできるのです。フォーマットがあったり、チェックポイント欄があったり、締め切り日を守ったり、何曜日の何時は内部検査だとか、そういう定型にされたものについては動きます。

 しっかり管理すれば、問題は無くなります。新たな問題が起きれば、あらたな定型フォーマットで管理します。不確定要素の多い昨今の事情についていけなくても、決まりきったことや権限があるところからの指示ならしっかり守れます。

 言い方は悪いですが、悪影響がはっきりしている決め事でも、上層の決め事ならしっかり守るが、課題改善につながる事柄を見聞きしても、上層や権限のある人間が関心なく、誰もそれに触れないし、指示のない取組みはしない、といった感じでしょうか。

 ボトムアップの改善なんて見込めないですね。

 言い過ぎかもしれません。ただしかし、「それは課長に聞いてからでいいんじゃないですか?」とか「課長に決めもらって動きましょう」の発言に、そういう意味での、空恐ろしさを感じています。

 時代のせいで片付けられない現実をつきつけられていると思います。私が参加したいくつかの外部の研修でも似た様な例を聞きます。

 不確定要素の課題や問題を、将来を見据えて判断できるから、業務での権限範囲を広げられる、任されると思うのですが。ただの世代論ではないと思います。

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