引き取らない・取りに来ない商品は誰のもの?

 前身ごろに大きな裂け目があるとのクレームを受けたことがあります。商材は牛角のライダースジャケット。お客様から送られてきた商品をみて驚きました。こんな裂けがある商品売る訳ないし、もちろん売るほうも買うほうも、ショップでご試着、ご購入からお包みの間に気づかない訳ありません。

 それでもクレームの内容は「初めから裂けていた、どうしてくれるのか?どこにもっていっても修理はできないと言われた、完品と取り換えろ」というもの。しかもご購入から1か月前後経過しています。

 修理ができるできないの確認が、経過時間との内容。まぁそれでもきっちり調べます。工場から取引先、取引先からショップ、それぞれの出荷時と着荷時の検品の確認、当日販売したスタッフへのヒアリング、分かる情報を集めます。

 何度どこを確認しても、ライダースジャケットの前身ごろに10センチ以上の裂けがある状態に気づかない訳ありません。お客様には、しっかりその事を説明します。するとそこから数年無しのつぶて。連絡が取れなくなります。

 次にしなくてはならないのは該当の商品の扱いをどうするか決めること。商品自体はご購入されたお客様所有のもの。扱いに困ります。

 ただこうした時は、機械的に対応するしか方法がありません。こちらが手を尽くし連絡してもご意向がわからないので、その所有権を放棄したとこちらが判断できる年数というのが決められています。その経過とともに処分すると決めました。

 この件以外にも、ショップが終了するときなど、修理上がりの商品で何年も取りに見えないお客様の商品がショップに残っているときがあります。ひどいものだと10年以上も前のものもあったりします。

 最後に電話でも、手紙でも連絡を取り閉店に向け準備しますが、しっかり連絡が取れることのほうが稀です。

 こうした時も記録を確認しながら経過時間によっては商品を処分します。

 ご購入をされた商品には愛着をもってもらいたいもの。販売時にもそう思って多くのスタッフが働いています。物を大事にしたいなと思う事例です。

 ちなみに、そのレザーのライダースですが、3年後に連絡が入り、お客様のお手元に送ることができました。

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