売上向上! 引き込みスペースの利用 VMD

↑  ↑  什器は導線面に沿っているが、PPの向きをお客様通行量に合わせて正面になるよう変化させている。什器の向きまで変更すると、なお分かりやすい。

入店を増やす、什器の向き!

 「VMD」アパレルで働くなら必ずどこかで聞く話かと思います。什器の利用方法もその手法に含みます。

 その什器の向きを少し変えると、フックになってお客様の足が止まるという話、客数獲得、接客数の母数を増やそうという話をしようと思います。

 ショップ区画の前面に平台とか棚什器、コーディネートテーブルなどありませんか?前面の導線と平行に置かれていますよね。ハンギングのラックも対象什器です。

 この什器を右または左に向けて斜めに置いてみてという提案です。これが、「引き込みスペース」の利用の手法です。

 通路面に沿って、片側を斜めに置くと三角に見立てたスペースができます。片側を後ろに引くので、そうなりますね。上から見た図を想像して下さい。

 左右どちらかを後ろに引いて、什器の正面の向きを変更します。どちらの向きを取るかは、客様の流れ・動きの話。お客様の流れが右からくるか左からくるかを、通行量で測り、什器の正面を決めます。お客様の交通量が多い方に向かって什器の正面を向けましょう。

 実施したいのは、お客様の正面に自分たちの訴求したいPPを見せるという事です。

 斜めでできた三角形の余白は、お客様が一歩踏み出すスペースです。これが大事。このスペースを甘く見ないでください。

 お客様の歩を進める、その一歩のためのスペースがフックであり、引き込みスペースの役割です。これでお客様の足を止めます。

 20年以上前、私が仕入れ担当になった頃は、通路面から30センチのセットバックを前提に什器配台をするのが前提でした。

 ショップ区画の導線面から前面30センチには何も置かず、そのセットバックのスペースに対し、お客様が一歩を踏み込むし、踏み出すとしていました。

 昨今では、全体をセットバックして、配台しているショップはあまり見かけません。多くのショップは、導線面からすぐ手に届くところに商品を陳列しています。商品を触ってもらおう、足を止めてもらおうという工夫が今こうした形で出ているのでしょう。

 ただ、導線面に沿って、什器を置くと什器でお客様を跳ね返す事があります。什器の面を導線に沿う配置のデメリットです。

 同時に、什器に沿ってお客様を流すような、什器がお客様の入店を疎外するような配置になることも知っていて下さい。

 商品を触ってもらおうと思って全面に陳列して、かえってお客様の入店を少なくしてしまっています。導線を歩くお客様の流れるほうの勢いを促進して、入店の阻害要因になってしまう配台です。

 配台のフックは昔から言われていたことで、今に始まった工夫ではありません。お客様の足を自ショップの前で止めたいという話です。

 こうした工夫は、時代によって変形しながら伝わります。後は、実施するか、実施しないかだけ。引き込みスペースは取り入れたい考え方です。

 私が、引き込みスペースという言い方で、今の時代のセットバックを認識したのは、6年ほど前(2014年くらい)です。在阪の最有力百貨店のVMDの先生を招聘した研修で学びました。

 その先生は、本店から支店全てのその百貨店のVMDの指導者です。受講したのは、いわゆるVMD研修です。その先生から引き込みスペースの話を聞いてすぐ実施してみると、やはり売場は、今までとは異なって見えます。

 フロアのショップのスタッフさんにも実施を促しましたが、実施するところ、躊躇するところで様々です。

 実施さえすれば、ショップの見え方ははっきり変わります。フックになるという言葉通り、少しの差でも見え掛りはかなり異なります。

 小さな動きですが、大きく異なる見え掛りとなります。見え方が違うというのはお客様視点からの話です。

 そうやって工夫をして、客数を増やすのです。接客の母数を増やすことの大事さは共通の事柄ですよね。お客様の足を止めるフックが必要のは今の時代必須です。

 館自体の入館がどんどん増えるマーケットではないのと、物販に対する消極的な消費の傾向をみると、ショップ前通行量に対して、有効なアプローチをしなくてはなりません。

 その中でのVMD、什器をどう使うかの話です。かつてのセットバック時代では、棚ものを前面に配置するように言われたものです。

 ラック展開の衣料より、棚ものの畳みものの方がお客様が触りが良いという傾向から来たものでした。今は、ラック什器のハンギングの方が触りがいいと言いますね。

 常に、マーケットは変化します。今のお客様の行動を意識して対応することが大事です。些細な変化かもしれません。その変化に対応できるか対応できないかで日々の積み上げの接客数が異なり、月の実績は大きく変化します。

 例えば1日で1客の客数が増えたなら、月では30客数増やしたことになります。同じ決済率なら、1日分の実績くらいカバーできると想像できませんか?

 できることをコツコツ行って、実績向上させましょう。できることを端から行うことで、厳しい商環境に挑んでいきませんか。

Follow me!