【お世話になった方々 二八の法則】
お世話になった取引先の事業部長の思い出
2割と8割で10割(100%)となるのは分かりますが、2割と8割で案分したものって日常的にあったりします。
二八蕎麦なんてよく使う名詞かもしれません。働きアリの法則も2割のアリが全体の8割のエサを獲得しているとか聞きますね。二八の法則なんていう言い方で聞き覚えました。
ファッションではどうでしょうか?2割のお客様で全体の8割の売上を獲るとか、2割の型番数で全体の8割の売上を獲るとか・・・かつてよく聞いた話です。この二八の法則を初めて聞いたのは、バイヤー業務駆け出しの頃の30歳の初めの頃でした。
私は取引先のブランド責任者の方からよく声をかけられ、蘊蓄(うんちく)というか、先人の知恵というか、成果獲得に向けた考え方とか、私の経験不足を事前に注意してくれる様な言葉を沢山頂けました(その後、そうした薫陶がかなり役立つ場面にたくさん遭遇します)。
そうした大先輩の中で、思い出に残る方の話です。その方から二八の法則を聞いたのですが、その話の後には、必ず言うのです。「法則通りに実績獲得をしたいけど、現実は中々上手くいかない。頑張って3割:7割、実際には4割:6割っていったところでしょうか・・・?!」と。
他にもいろいろな話を聞きました。新宿にあるファッションが主力の百貨店で大活躍していた名物バイヤーの話題になった時です。
「商売って、ロマン、ガマン、ソロバンが必要なんだよね、語呂合わせだけどね」なんて言って微笑んでいました。
商売するには、「夢を追っていることが大事でそれがロマン、ロマンを叶える為に必要な我慢があるし、最後には収益が出たか、儲かったかを吟味しなくてはならない、それがソロバンだよ」って。
そして、そう言いながら「彼にはロマンがあったけど、我慢と算盤がなかったね」なんてその方の感想めいた事も言っていました。
私は自然とこの話、教訓にしようなんて思い、聞きながら考えていました。なぜかすごく得心できたので。その影響もあってか、今でも粗利まで、更に最終の収益高までの我慢の大事さを、この時の雑談きっかけで忘れない様にしています。
「大学でも講義をしているんですよ」なんてアパレル 引退後に言っていたくらいですので、話の上手な方でした。
ちなみに、この取引先の責任者・事業部長さんは、大阪の心斎橋にあるお茶屋さんを実家に持つ方でした。
「引退して実家のお茶屋の手伝いでもします」と言って引退されました。私は、大阪出張を利用して、心斎橋の店舗まで会いに行ったものです。大丸百貨店内の喫茶でコーヒーを頂きながら、その場でも業界でやっていくのに有効な話を聞きました。本当に面白い、楽しい方でした。
そのお茶屋さん、その後、抹茶やほうじ茶のチョコレートを発売して、百貨店のバレンタイン催事などに出店する様になります。
会社からスタッフさんが来るとその事業部長が息災かどうかを聞いたりしたのですが、一昨年鬼籍に入ったと聞いて、寂寂というか寂寥というか、今から20年前の事を懐かしく感じ、悲しく思う気持ちを禁じ得ませんでした。
今、自分が自分より歴の浅い取引先の責任者、エリアMG、ショップ店長に色々役立ちそうな話をする様な年齢になっています。私なりの業界への恩返しかと思っております。