【発注についての理解】
発注ってどう考えるの?
発注する事を考えると、品揃えの全体に考えが及ぶようになります。セントラルコントロールで自動的に納品があるショップでも、発注業務について理解があるのとないのとでは大きく異なります。
小さいスパンで考えてみましょう。ショップ内のラックは概ね90センチか120センチかと思います。長くて150センチ。
私は、入社以来尺で言うことが多く、3尺、4尺、5尺と言っています。3尺ラック、90センチのパイプで考えてえみましょう。
真っ先に思いつくのが、このラック用に発注するって言っても、ラックって何枚ハンギングできるの?です。
重装でしたら、20着から22着が精一杯です。商品がかかりすぎたラックはお客様にとって見づらいだけです。
シンプルに考えるためにコートの発注としましょう。22着が品出し枚数で、どう発注しますか?
もちろん、製品サンプルを見て、ターゲット像、顧客像を思い浮かべながら、商品分類からと選品眼、感性から選ぶ事になるのですが、ハード面で展開できる枚数が決まっています。
何型、何枚発注しますか?ハードに制限があるのですから、発注も限られます。
22枚の展開なら、1型で2色あって、7号から11号まで3サイズあるとして、品出しの方針を決めます。
色は2色出すけど、サイズは9号だけ出して、7号と11号はストックに置くとすると、1型で2枚の品出し数です。これで考えると、全体で11型の発注をする事になります。
もしサイズを2枚出しならどうなりますか。1型2色で9号と11号で1方につき4枚出します。すると、5型が発注型数となります。什器の使い方で発注型数は変わります。
次にこのラックは何回転の商売となるか想定します。平均単価を仮に25,000円としましょう。22枚品出ししているわけですから品出し金額は、55万です。コートの売上目標金額でも、このラックで売ると決めた売上目標金額でもいいですが、目標があるはずです。この目標金額を仮に330万とします。
55万の品出し金額で330万売るとなると、このラックの回転数は、6回転です。これを3ヶ月かけて売っていくなら、月平均なら2回転する事になります。
もちろん、バックヤードにはサイズの品出ししていないストック分があります。1型につき2枚あるとすると、実際にはそれが総在庫ですよね。
25,000円が2色で、3サイズなので15万。それが11型で、165万、それが6回転だと、990万の在庫が必要だった事になります。
投入金額の消化率で見ると、330万を売るのに990万の在庫が必要だったことになります。金額の消化率では33.3%です。
あまり良い発注ではなかったと言えます。プロパーだったらせめて60%以上の消化にしたいものです。
すると、精度を上げるために、サイズの発注の強弱をつけたり、色に発注に強弱をつけます。そうして、消化率が上がるように発注段階で工夫します。
恐らく、サイズではデータがあるでしょうし、色はサンプルを見ながら、店頭の動きを思い浮かべれば、強弱をつけられるでしょう。
そうして、効率の良い商売ができるように発注します。データがあれば、発注金額を比率で計算でき、何をどのくらい発注するか自然と計算できます。
何を選ぶかの選択眼は、商品分類の科学半分と感性半分かもしれませんが、発注の段階になると、概ね計算値で算出できるようになります。
この時、本来は目標売上げであったり、投入在庫高から計算された消化率設定があったりしますから、自動的に発注金額が想定されています。
その金額で、店頭の売上げ目標をとるとするなら、どの品番を厚く発注し、どの品番は思い切って切るかを決めることになります。
そのためには、現場、お店そのもの、お客様を誰より知る必要があります。
また、新規客の獲得を目的に挑戦的な発注も必要となる場合があります。そうやって、店頭展開商材が並ぶ訳です。
この他にも発注に影響する項目はありますが、理解の一助になればと思います。