【取引先との関係修復】
役員が商談で合意を破棄しました。
2010年代初めのことです。フロアの改装案件が偶然重なった時期がありました。元々の予定に、急な退店があったのが理由です。
再構築する機会だと、当時の専務が躍起になって、現場に具体的な指示をして介入してきました。その割には、現場やマーケットの変化に鈍感で、決して多くの取引先を知っているわけでもありません。邪魔してるとしか思えない状況です。
承認権限をカサに来た行為に近かったです。企業ではよくあることなのかもしれません。
そのうち1つの区画に私がかつてからよく知る、百貨店を主な販路にする大手アパレルのブランドを導入しようと動いていました。
当時その取引先は、鉄道系の駅ビルにも食指を伸ばし始めた頃。一同で商談で会した時、そのブランドの責任者の方は、私をみて、ビックリ。なんでいるの?なんて言っていました。そう、私が新人の頃から知っている方が責任者となっていたのです。
話が順調に進み、最終の段階で出てきたのが、その専務です。話がまとまる場所に居たいというのと、導入を決めたのは自分だという主張がしたかったのでしょう。
最終の商談日、私は社内で待機、来るなというのです。しかし、その日の夕方です。同行していた私の上司が、大変だよ、話が飛んじゃったと教えてくれます。
どうやら、話し合っているうちに意見が合わず、その専務「この話ご破算だ!」と言って、帰ってきてきてしまったと言うのです。
なんなんでしょうか、この専務。人の苦労とフロアの再スタートの邪魔ばかりします。
その後、その理不尽さには言葉をなくします。何とこの案件のご破算は、私が悪いと言い出したのです。そんな論方どうして思いつくのでしょう?その場に不在の人間が悪いとは。また、喧嘩の当事者でない配下のスタッフの方に責任があるとは。専務職の方とは思えません。
そもそも責任者は責任取るためにいるもの。責任取らない責任者なんて仕事放棄です。きっと無能だったのでしょう。
ここからが更におかしな話です。改めて専務がその区画に当てにしていたブランドから出店を断わられます。取引先にうとい専務には時間的にもアイデア的にも万事休すです。
すると私が呼び出されます。何と「お前が取引先と関係修復できるなら、あのブランド導入しても良いよ、取引きしたい相手なんだろ?」って。何じゃこりゃの現実。
早速昔馴染みの責任者に連絡入れます。会いに行って、再度お願いをし、無事終了。専務の不始末をスタッフである私がお詫びし終了です。
新規導入が決まりました。ただの人間関係と、先方の社の方針の合わせ技みたいな結果。かえって私が先方から労いの言葉をもらいます。
その後、数年でその専務は自身が所属していた大元の企業に帰って行きました。社内が平和になったという印象です。
そして、その導入から10年が経過しています。その取引先の責任者の方は還暦となり、その企業のグループ企業に異動になりました。
特段用事が無くても、「近くに来たからさ…」なんて言って私に会いに来てくれた方です。展示会でも何時も一緒にお茶飲みながら業界の話なり、実績の分析なりを話題にして、その場を楽しく過ごさせてくれた方。販売現場で会えないのは寂しい限りです。
そして、そのブランドの休止が2020年の今年決まります。
その責任者と共にあったようなブランド。私もそのフロアの担当ではなくなっています。人には、何かの縁というような出来事が起きたりします。